【HC】
フランス語でHors Commerceの略で非売品という意味です。
元来は版画の販売促進、営業用、見本用の為として作られた物でしたが、現在では通常限定番号以外で、販売元が余分に販売できる版画作品に付けられます。
大体版画の限定部数の5%~10%位作られています。
英語圏ではHors Commerceに類する言葉がないので、同様の作品をフランス語のままでH.C.と記載します。
そして純粋に見本の為だけの作品にはSAMPLEと言うスタンプ等を押した物も見受けられます。
価値的な事で不安を持たれる方のご質問もいただきますが、通常限定も、HCも全く同じ刷りで、基本的には版画の価値は変わりません。
【PP】
英語のPrinter’s Proofの略で、版画の刷り職人のための作品という意味です。
元来は、版画を作る工房職人達の労をねぎらう為、版画の完成時にPPと記載して、その版画工房のメインの職人に贈られた作品に記載した事が始まりですが、現在ではその版画工房の会社自体に渡され、その工房の実績を残すためや、版画の刷り代の補助として、刷り工房に渡される版画を指します。
一部の作家はそのPPにも限定番号を記載して、厳重に作品の総部数を管理しています。
【EAとAP】
フランス語のepreuve d’artisteの略で、版画の作家保存分という意味です。
英語ではArtist Proofと呼び『AP』と表記します。
元来は作家が自分の作品の資料として保存し、また他のアーティストやお世話になった人や美術館などに贈呈する為の作品でした。
現代では、通常ナンバーと同様に版元が管理販売することが一般的になっております。
通常限定も、EAも全く同じ刷りで版画の価値は変わりません。
【TP】
英語のTrial Proofの略で、版画の試し刷りという意味です。
フランス語ではEpreuve d’Essaiと呼び、EEと表記します。
版画を刷るときに色の調子や、配色具合、作家によっては構図も含めて各種の試し刷りを制作します。
TPは試し刷りですので、必ず最終の版画とは色や構図などが若干違っている場合が多いです。
試し刷りの保存は作家がする場合と、版画の刷り工房が保存する場合があります。
作家が保存している場合は、死後に遺族に相続され、その場合は署名が入っていない事が多いです。
版画の刷り工房が保存する場合は、作家がその版画の職人の労をねぎらうためや、刷り工房の資料用に,署名を入れて贈呈されることが多いです。
現存作家の場合は現在見かける『TP』は、その版画の刷り工房から出た物が殆どです。
◆エディション番号
海外で使用される数字には、日本でも一、二、三、四、五、六、十、百、千という漢数字も使うように、2種類の表記方法があります。
一つはアラビア数字で、もう一つはローマ数字です。
【アラビア数字】
日本でも一般的に使う、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、50、100、500、1000と言う表記です。
【ローマ数字】
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ、L、C、D、Mと表記します。
Ⅹは10、Lは50、Cは100、Dは500、Mは1000を表します。
まとまった数、Ⅴ(5)、Ⅹ(10)、L(50)、C(100)の左側に書いた数字はそのまとまった数から引いた数がその数字となります。
ほとんどの作品で、ローマ数字の限定番号を持つ版画は、アラビア数字の限定番号の版画も存在する事が多いです。
どちらの記載にしても、基本的には限定番号による作品の価値には差は有りません。